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2025.02.13

《column.22》革製品にアルコールが厳禁なワケ

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コラム・22

革製品にアルコールが厳禁なワケ

キソラのコラム第22弾となる今回は『革製品にアルコールが厳禁なワケ』です。ここで記載するアルコールはお酒ではなく手指消毒用等のアルコールを指します。前回のコラムでは革の「日焼け」についてご紹介しましたが、今回お話しする「革×アルコール」も『元に戻らない』トラブルの一例となります。水シミやお酒のアルコールは軽度の付着であれば、対策を行うことができますが、アルコールに関しては付着度合いに限らず、重篤な結果となります。今回はそんな『革製品にアルコールが厳禁なワケ』をお話ししていきます。

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コロナ禍を経てより身近なアイテムとなった「アルコール」。多くの細菌やウイルスなどに対して短時間で高い消毒効果が得られ、揮発性が高く揮発後は残留性が少ないなどの効果があることから、コロナ禍後もなお日常品として利用されています。日用品アイテムとしては大変利便性が高く、必需品の一つに加わっている方も少なくないかと思います。しかし、革製品にとっては相容れない関係性なのです。

お手入れの重要性をお話ししていた時と同様、革製品には水分と油分が大切です。それに対して、アルコールには油分を分解・揮発させる成分が含まれています。そのため、アルコールが革に付着すると、革素材が持っていた油分が分解され劣化の原因となるトラブルが発生します。そしてその劣化の多くは色抜けで、日焼けと同様にお手入れ等で元に戻すことができません。革素材は加工方法が様々で、鞣し方によってアルコールとの反応に差が生まれます。ですが、いずれにしても革に含まれている溶剤や染料がアルコールの成分と反応して起こる結果はネガティブなものばかりです。

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YouTubeチャンネル「kissoraの中の人」でも、実際に革素材にアルコールを吹きかけて、どのような反応があるのか「水」と比較して解説しております。動画内で使用している革は、キソラで主に使われている染料+素上げ調の素材です。キソラを日頃お使いいただいてる方は特に、ぜひ併せてご覧ください。

YouTubeチャンネル「kissoraの中の人」

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前述した通り、革素材に消毒用アルコールが付着すると化学変化が発生します。以下ではキソラで主な素材として使用している染料仕上げ+素上げ調の革に対して「消毒用アルコール」が付着した場合と比較対象として「水」が付着した場合の状態変化をご紹介します。

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上記でお分かりいただける通り付着した直後は両者同じように付着部分が濃くなります。しかしその後「消毒用アルコール」が付着した場合は、重篤な色抜けが起きています。だんだんとそれぞれの持つ成分が化学反応、状態変化を起こすことで、アルコールは色抜け、水はシミとなって定着するという結果になります。今回はいずれも霧吹きによる実験を行いましたが、これはアルコールシート等でも同様の現象となります。

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こちらは素材を変えて、顔料仕上げの革による実験です。この場合は、色抜けではなくいずれも該当箇所の色が濃くなり、シミになったような状態となりました。違いとしては、アルコールの方が染み込んだ先の境目がより濃く「何かが染みている」印象を強く残しています。このように革素材の仕上げによってアルコールが反応して起こる変化には差異があります。

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「革製品の日焼け」と同様に、革製品にアルコールが付着し、色抜けしてしまった場合は『元に戻すことができません』。そのため、トラブルが起きてしまった後の対策はなく、予防はとにかく革製品にアルコールが付かないようにすることです。

手にアルコール消毒をした際は十分に乾燥してからハンドル等を持つこと。
アルコール噴射時にバッグ等にかからないように配慮すること。

気軽に革製品をお楽しみいただきたいという気持ちは一番ですが、アルコールの付着に関しては繊細に気をつけていただけますと幸いです。
また、参考として「アルコール」と「水」が付着した際にお手入れを行った際の手応えの違いを下記にてご紹介します。(今回は真っ新の革に付着後20分でお手入れ実施)

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上記の通り「アルコール」は付着直後のお手入れでも全く手応えがありません。対して水の場合はデリケートクリームの水分とともに付着していた水も素材に浸透して目立たなくなっています。また、写真では伝わりませんが、お手入れ後乾いた状態になると「アルコール」は乾燥しきったパキッとした質感(革本来の質感が失われている)、「水」は水分を含んでうねりができたような質感へ変化しています。

色抜けに関しては、近い色味の顔料を吹き付けることで目立ちにくくする修繕方法もございますが、キソラではそのメンテナンスは行っておりません。革製品とアルコールの関係性を正しく理解していただき、より長く革製品とお付き合いいただけると嬉しいです。

メンテナンスのお問い合わせ

革製品と付き合うには他の素材よりも少し知識や手間が必要。それでも少しでも気軽に革製品をお使いいただきたい。キソラでは商品の販売に留まらず、その先のアフターサービスにも力を入れております。お手入れ方法の教授や実際のメンテナンス希望、状態改善の相談等、お困り事がございましたらお気軽にお問い合わせください。
※ご来店でのお問い合わせの際、店頭にて即日解決できない事例につきましては、お預かりさせていただく場合もございます。あらかじめご了承ください。

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InstagramでのDMおよびメールでのお問い合わせの際は状況と状態のわかる写真を添えてください。

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YouTubeチャンネル「kissoraの中の人」では、雨による水シミが革製品に起きた場合の、kissoraの中の人流のお手入れ方法をご紹介しております。どの素材、製品にも活用できる手順ではありませんが、対策の一つとして参考になればと思います。なお、こちらのメンテナンスは、お手入れ作法に長けた者が行っておりますので、不安な方はぜひお気軽にご相談ください。

YouTubeチャンネル「kissoraの中の人」

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革製品のお手入れは大きく分けると4ステップ+α。【 汚れ落とし ▶︎ 栄養補給 ▶︎ 乾拭き ▶︎ ツヤ出し +α(撥水スプレー)】です。kissoraのアイテムはこれらの手順を踏んだお手入れを行っていただければ、より長く革製品をお楽しみいただけます。ご不明点等ございましたら、SNS等でのお問い合わせ、YouTubeのコメントにて受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。

item line up

kissoraの革製品へのお手入れでおすすめしているケア用品をラインナップしています。特にデリケートクリームはkissoraでお取り扱いを行っている全ての製品にお使いいただくことができ「水分」と「油分」を補給するのに十分な効果を発揮します。

デリケートクリーム
KIRD-001
1,430円 税込
馬毛ブラシ
KIRD-002
1,430円 税込
プロテクターアルファ
KIRD-003
1,760円 税込
クリームエッセンシャル
KIRD-004
2,090円 税込
ポリッシングコットン
KIRD-005
660円 税込

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kissoraでは取扱店にてメンテナンスブックを配布しております。基本的なお手入れの手順やお手入れに活用できるケアアイテムを掲載しています。ぜひお手元に置き、お手入れの参考などにしていただければ幸いです。

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