2023.08.25
《column.03》革製品のケアについて
慌ただしく過ぎていく日々の中で、
何が大切で、何がそうじゃないかを 自分の目で見極め、
一日一日を丁寧に、シンプルに暮らしたい。
そんな日常にそっと寄り添う 「kissora」との生活。
そんなコンセプトを掲げたkissoraが、
皆さまと革との毎日をより豊かに彩れるようにと始まったコラム企画。
革についての知識やひとつのトピックを深く掘った内容をお届けいたします。
ぜひご一読ください。
コラム・03
革製品のケアについて
第3弾は「革製品のケアについて」です。革にとって「ケア」とはいわば、守ることと育てていくことです。ナイロン等の布帛とは異なり、動物から生まれた素材である革は、たとえ加工が施された後でも時間を重ねるだけ変化を及ぼします。日々の使い方や保管方法に限らず、実はケアの有無こそが革製品をどれだけ長い時間美しい状態に保つことができるかを左右する重要な行為なのです。今回はそんな「ケア」に注目してコラムを展開していきます。
レザーケアマイスターとは
ケアの重要性を語る前に、皆さんは「レザーケアマイスター」という資格をご存知でしょうか。2018年に設立された一般社団法人 日本皮革製品メンテナンス協会により2022年に新たに設けられた制度で、主に鞄や財布、靴にまつわる《革のメンテナンス》に着目した資格となります。kissoraでも本社にてメンテナンスやケアを行うチーフエディター倉持聡氏をはじめ、実店舗であるkissoraオンリー店の店長も多く取得しており、日々メンテナンスに携わっております。
レザーケアマイスターの取得試験は年に1度行われ、筆記と実技による審査の元、合否を得る形となります。一言にケアといってもいくつかの基準やポイントが必ずあり、アイテムの状態に合わせて適切な対応をすることで、革の状態をより良く美しい状態を保つ助けをします。
アイテムの開発や販売だけでなくメンテナンスにおいても重きを置いているkissoraでは、レザーケアマイスターの資格を取得することを積極的に促し、これまで何名もの資格者を輩出してきました。しかし資格を取得することはやはり容易ではなく、長く革製品と関わってきた者でも一度の試験では取得できないケースもあります。それほどケアは奥が深く且つ技術を求められることの一つでもあるといえます。
kissoraではそんなマイスターを多く携えており、マイスターの資格を持つ者はバッジと証明書でそれを表明し、店頭でもその証を示している店舗もございます。より適切なメンテナンスやケアの方法を知りたい方、ご依頼されたい方はぜひそちらを目印にお声掛けいただけますと幸いです。
ケアの重要性
それではケアの重要性とは一体どのようなものでしょうか。はじめに参考としてケアを行っていない状態の革とデリケートクリームによる保湿を行った革の違いをご覧いただければと思います。
左側(ケア前)は乾燥によるカサつきや擦れ、水分不足による退色が見られます。比べて右側(デリケートクリーム塗布後)は潤いを取り戻したことにより、艶が生まれ全体的にしっとりとした仕上がりに見えるかと思います。
革製品をはじめとする天然素材は仕様の有無や環境に限らず時間が経過することで状態に変化を見せる「経年変化」を起こします。一般的には「エイジング」ともいわれ、それらを楽しむことができることも革製品の良さとされています。
しかし、より美しい革本来の魅力を引き出すような経年変化を起こすためには「ケア」が不可欠なのです。前述したように天然素材である革は日々変化を起こします。その変化とは主に「脱水」といわれており、乾燥することがその代表的な例となります。ヒトが水分を補給するように革にもクリームを介した水分補給をさせることで状態をよりよく保つ助けをするのです。
ただ、ケアを施しても元に戻すことができないのが「退色」です。「退色」に対する最終的なメンテナンスは補色(色の塗布を再び行うこと)なのですが、kissoraでは補色によるメンテナンスを行っておりません。理由としては、補色を行う過程で顔料を塗布することで、革製品の上にさらにもう一枚膜を被せる形となり、革素材が持っていた本来の魅力を失ってしまう可能性があるためです。ナチュラルな風合いと経年変化を大切な鍵として持つkissoraではブランドの想いとしても「退色」による「補色」のメンテナンスはお断りさせていただいております。
「補色」のメンテナンスを行うことができない代わりにkissoraから皆様にご提案したいことは「日々のケア」の継続です。「退色」の主な原因となる「乾燥」は日頃のケアを行うことで大幅に軽減することができます。kissoraでもお取り扱いのあるデリケートクリームは主な成分が《水分》と《油分》でできており、製品に潤いを持たせることに効果を発揮します。そのデリケートクリームを使って日々ケアを継続することで、「乾燥しない」状態を保ち、退色しない予防をすることもできるのです。
日頃のケアとしては月に1回程度をおすすめしております。革の状態や気候、使用頻度によっても異なりますので、ぜひ気になる方はkissoraオンリー店などへお問い合わせください。
アフターメンテナンス
kissoraの製品はお客さまの手で長く愛用され、育てていただくことで初めて”完成品”となると考えています。使い込むごとに現れる経年変化を楽しんでいただくことこそが革製品の最たる特徴であり魅力です。しかし、そうして時間をかけていただく中でトラブルが起きることも事実です。「もっと使いたいのに壊れてしまった…」「より良い状態をキープするための助けをしてほしい…」などご要望は様々。そんな声にお応えする形でkissoraではアフターメンテナンスにおいても力を入れております。お持ちのアイテムやこれからご購入を考えている方々にもそういったアフターメンテナンスを知っていただき、より革製品に対する敷居を低く捉えより気軽に身近に感じていただけたらと思います。
kissoraで行うアフターメンテナンスには大きく分けて《メンテナンス》を指すケアや補修と、《修理》を指す修繕があります。
一つ目の《メンテナンス》に関しては、日々のケアでは賄いきれないシミや傷等、ご自身ではケアが難しいと判断されるものについてメンテナンスを行うことが可能です。これまでには、お酒を鞄にこぼされた方や水シミに対する表面のケアなどを行ってきました。いずれも基本的なケアとなりますが、レザーケアマイスターによる長年培った知識と適切な対処をさせていただきますので、ぜひご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
また、《修理》に関しては、糸ほつれやホックの緩み、ファスナー交換など多岐にわたる修理に対応しています。こちらは修理の規模によって有料とさせていただく場合や、工場での修理となる場合もございます。また、大きな破損に関してはお応えできかねる場合もございますのであらかじめご了承ください。修理の価格決定について気になる方はYouTubeの動画を参考にしてみてください。
実店舗におけるケアへの体制
kissoraでは全国15店舗のオンリー店(2023年8月現在)と本社にてアフターメンテナンスの受け入れを行っております。お持ちのkissoraアイテムにつきまして、ケアや修理のご希望がございましたらお気軽にお申し付けください。
※ケアをご希望の方は直接店舗へお持ちください。但しメンテナンス可能者が不在の場合は、後日のご対応あるいはお預かりさせていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。
※本社でのケア、メンテナンス、修理をご希望の場合はInstagramのDM等でご連絡ください。
また、店頭に並ぶアイテムについても日々店頭スタッフがケアを行っております。ケアを実践するために方法を知りたい方などおられましたら、ぜひお声かけください。
ケア用品のご紹介
「ケアの重要性」をお伝えしてきましたが、冒頭でご紹介したレザーケアマイスターが存在するようにケアは難しく手を出しづらいものであるというイメージも同じくあるように思います。しかし日頃のケアこそ最大の味方であり、皆さまにもケアを実践していただくことをおすすめしています。そんな中でkissoraでは初心者の方でも扱いやすいケア用品を取り揃えておりますのでご紹介します。
クリームエッセンシャル / KIRD-004
2,090円 税込
サラッとした質感が特長で、艶のある仕上がりになり、ブッテーロやブライドルレザーなど艶が出ることでより美しくなる革と相性が良いクリームです。
今回は「革製品のケアについて」のコラムをお届けしました。ケアの対応は革製品の数だけ存在します。適切なケアを行うことで何年も寿命が延び、愛用できる時間も延びていきます。kissoraでは「kissoraの中の人チャンネル」としてYouTubeでの動画投稿も行っております。そちらでも動画でのケアやお手入れ、メンテナンスに関する動画も投稿しておりますのでぜひ併せてご覧ください。