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2023.07.28

《column.02》傷が物語るもの

kissora

慌ただしく過ぎていく日々の中で、
何が大切で、何がそうじゃないかを 自分の目で見極め、
一日一日を丁寧に、シンプルに暮らしたい。
そんな日常にそっと寄り添う 「kissora」との生活。
そんなコンセプトを掲げたkissoraが、
皆さまと革との毎日をより豊かに彩れるようにと始まったコラム企画。
革についての知識やひとつのトピックを深く掘った内容をお届けいたします。
ぜひご一読ください。

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コラム・02

傷跡が物語るもの

第2弾は「傷跡が物語るもの」です。kissoraでは「革」「時間」「ケア」の3つを大きな柱として掲げてきました。その中でも今回は「革」に着目して展開していこうと思います。「革」が元々「皮」であったことは言わずもがなですが、それが製品として活かされる過程の中にはブランドごとに様々な葛藤と想いを抱えています。今回はkissoraの考える「革」のあり方をお伝えできればと思います。そして今回は特に「傷跡」についてご紹介します。

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傷跡という個性を知る

牛や馬、山羊や豚などが「皮」を纏い生命として産まれ、家畜としての命を終えた後に生まれる「革」。そんな革には彼らが生命として育んできた時間の中で蓄えた様々な『傷跡』があります。暮らしの中で負った傷は治癒されてもやがて傷跡として皮膚に刻まれ、その傷跡は皮膚の一部として残ります。それらの傷跡が革となった時、あるいは革になる段階で柄や模様のような印象を与えるものとなります。

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私たち人間が生活の中でできた傷やシワと付き合いながら暮らしていくように、革となった彼らも傷を抱えながら生活をしています。さらに険しい自然界に暮らす彼らは一層それが濃く表現されるため、顕著にその表情を感じやすい傾向にあるともいえます。
kissoraの革はそうした”生きた跡”を加工で無理に消すことなく、自然な風合いとして残しています。彼らそれぞれの『個性』として受け入れることで、むしろその差異を感じ、楽しむことができるとともに、過度な加工を施さないことによって革の持つ本来の魅力を最大限に残し味わいを感じていただけるというメリットを尊重しています。

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傷跡の種類

ひと言に「傷」と言ってもその種類は様々です。私たち人間の傷も擦り傷から大怪我まで、はたまた虫に刺された跡や歳を重ねることで皮膚が連なりシワになることもあります。こちらのセクションではそんな傷の種類について一部ご紹介します。

トラ

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代表的な革表面の表情のひとつで、首や関節など、曲げ伸ばしを行っていた部位にできやすいシワの跡です。動物は基本的に四つ足で顔をあげて生活しているため、首の後ろから背中にかけてできやすい跡です。素材としては繊維の締まりが強いため重宝される価値の高い部位ですが、このシワが原因で省かれるケースも少なくありません。kissoraでは積極的に使用している部位となります。

血筋

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血管が近くを通っていた箇所を示している跡です。繊維としては問題がないので、使用していますが、表面に配置するのを避けるなど使用する箇所を考慮しています。

バラ傷

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樹木やほかの動物の引っかき傷が治癒した跡です。基本的には動物が生きている間にケガをしてしまい治癒した跡がバラ傷として残りますが、極端に激しいものや傷のえぐれが深いものなど強度に問題がある場所を除いて使用しています。

かさぶた跡

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怪我をしてかさぶたとなり、それが治癒した跡が残ったものです。傷は治っていますが、元の肌とは異なる状態になっています。度合いによって使用可否が分かれるもので、穴が空いているものは使用しませんが、皮膚の組織が戻っていて、表面だけ傷やムラがあるような場合は使用しています。

ピンホール

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虫喰いの穴あるいは虫に刺された跡です。生きている時に虫に刺された跡が残っている場合や生の皮の状態から鞣す工程の中で虫に喰われて跡になる場合があります。一部ではなく、全体に広がっている時もあり、深度とともに見極めながら使用可否を検討しています。

ほくろ

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人間と同様に牛にもホクロがあり、その濃さや大きさ、できる箇所は千差万別です。天然の証のひとつともいえ、その度合いに準じて使用しています。

傷の都合以外にも、革の使用箇所を検討する局面があります。日本の場合は背中から尻にかけて2つに分けた革として納品され、製品として使用するパーツへ分けて裁断が行われる事がほとんどです。部位によって使用するパーツへの相性が異なるため、裁断職人はそれらを選定しながら作業を行います。
例えば、腹部にあたる部分は生物の構造上、痩せたり、太ったり、メスであれば子供を身籠る面を鑑みてもわかるように繊維のつまりが弱いため伸びやすく、強度への懸念が大きい箇所となります。そのため製品として使用することを避ける場合が多く、必然的に主に使用されるのは肩から腹部の中心にかけた部位が多くなります。

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また染料仕上げや素上げ調の革は特に傷跡が目立ちやすい点に加えて、色の濃淡が違って見えることもあります。同じ一枚の革でも繊維の詰まりが異なるため、染色にムラが発生します。そのため、同じ《キャメル》というカラー名であっても、裁断した部位によって濃いキャメル、薄いキャメルなどの種類が生まれます。染料仕上げ+素上げ調は革本来の風合いを楽しめる代わりにこのように個体差ができることがあり、それが素材の最大の特徴でもあります。

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ユーザーの声

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長財布が欲しくて、最初はネットでいろいろ見てて。 kissoraは、革なのにカラフルでいいなと。 でもネットでは、本当の色や質感がわからないので、お店に行きました。 それで実物を見て、最初はちょっとびっくり。 思っていたより、色のニュアンスがひとつずつ違って、 ものによっては細かいシワが入ってたり。 同じデザインでも、それぞれが一点モノみたいと気づいてからは、 結構長い時間、真剣に選びました(笑)。 ただ、一番気に入ったお財布に、ポツンと小さな傷があって。 店員さんに聞いたら、「牛が虫に刺された跡」って。 意外すぎて笑っちゃいました。それが、これです。 使いはじめの頃は、革が硬めと思っていたけど、使っているうちに 少しずつ柔らかくなってきて、半年くらいして、独特のツヤが出てきた頃は、 おおおって。嬉しい変化でした。 その頃、友だちへのプレゼントを探しにお店に行ったら、 店員さんが声を掛けてくれて、お財布の手入れをしてくれました。 そしたら少し気になっていた小さな引っかき傷が目立たなくなって。 最近は、ファスナーの引き手が壊れて修理を依頼しました。 そこだけ新しい革になってまた雰囲気が変わり、ますますいい感じです。 モノを大切にして長く使うライフスタイルは、心地いい。kissoraと出会えてよかったです。

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※上記紹介アイテムが廃盤のため

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今回kissoraのおすすめとしてタンニン鞣し素上げ調の仕上げによるアイテムをご紹介します。これらのアイテムの特徴は前述に取り上げたような「傷跡」が表情として表れやすい点に加えて、革本来の表情が楽しめるとともに経年変化を大きく感じられることです。

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今回のコラムでは「革の傷跡」についての内容をお届けしました。kissoraでは、一枚の革からできるだけ無駄なく裁断して生産して加工することで、できるだけ値段を抑えることを可能にしています。デメリットとも捉えられる「傷」をあえて個性として受け入れることで、その多様性を好んでむしろ表情として楽しむ事ができるというメリットを生むことができます。お店にはディスプレイとして並んでいるものと、在庫としてバックヤードよりお持ちするもので表情が異なることがあるかもしれません。その際は、新たな表情に出会う感覚で一点一点の違いを楽しんでいただけますと幸いです。疑問に思ったり、他の表情が見てみたい方はぜひお気軽にスタッフにお尋ねください。
次回のコラムは「レザーケアマイスター」についてを予定しております。ぜひお楽しみに。

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