2026.08.20
《column.33》革の個体差:シボの違い

コラム・33
革の個体差:シボの違い
kissoraのコラム第33弾は「革の個体差:シボの違い」についてです。元々は生き物で、自然物であった革には様々な表情、個性があることはこれまでコラムや特集、YouTubeでも再三お伝えしてきました。その上で今回のコラムでは、kissoraのフェスタシリーズ、ボルサシリーズに施されているシュリンク加工した革に見られる「シボ」に着目して展開していきます。ぜひご一読ください。

本コラムのテーマとなる『シュリンク(Shrink)』は英語で『縮む』を意味します。その名の通りギュッと縮ませたような表情が印象的で、シュリンク加工によって生まれる凸凹感、シワ感のことを総称して「シボ」と呼ばれています。そしてシボは、これまでのコラムでもお伝えしてきた革の個性と同様にそれぞれに表情を持ち、一点一点の個体差が生まれます。
革を作る過程には多くの工程があり、それぞれに多様な選択肢がある中でどのような仕上げにするかを選びながら仕立てられます。『シュリンク加工』と一言に言ってもそれらができるまでには大きく分けて3つの製法があります。
①つ目は薬剤によって縮ませるシュリンク、②つ目は熱によって縮ませるシュリンク、③つ目は型を押してシュリンクのように見せる方法です。それぞれの加工方法によって仕上がりの表情にはきちんと差異があり、特徴も異なります。

上記3つの製法およびメリット、デメリットを踏まえkissoraでは①薬剤によるシュリンクまたは②ヒートシュリンクによって作られた素材を使用し製品を生産しています。それらに共通して言えることは『革らしさ』を重んじているという点です。③型押しによるシュリンクは、いわば革らしさを隠して表面を作りこむような加工方法で、均一性を高めると同時に革らしい表情を損なってしまう製法です。
kissoraがkissoraらしくあるための選択として、均一であることよりも革らしさを追求し、素材づくり、ものづくりがなされています。
kissoraのYouTubeチャンネル「kissoraの中の人」でも実際にシュリンク素材の革を広げて、その特徴を詳細にご紹介しております。kissoraの製品を手に取ってご覧いただく際にも、事前に知っておいていただきたいポイントもお話ししておりますので、ぜひ併せてご覧ください。

こちらのセクションでは、kissoraが現状主に使用している加工方法のひとつ「ヒートシュリンク」によって仕立てた実際の製品(ボルサシリーズ)を例に取りながら、自然な風合いを尊重した場合のシュリンクレザーに見られる個体差について詳しくご紹介していきます。

上記の3つの財布は全て同じkissoraの「ボルサ」シリーズ 二つ折り財布 KIAS-066のキャメルを同じ環境で撮影したものです。ご覧の通り、シボの大きさに違いがあるのがわかるかと思います。また、シボだけでなく色の濃淡の差、シワ感の有無、全体的な印象の均一性の差異など異なる箇所がいくつもあります。これがまさに革製品の個体差です。
革素材自体にも個体差がありますが、ヒートシュリンクはさらに縮ませる工程でも元の繊維の密度によって、縮まり方の度合いに差が生じます。
例えば、革の部位でお腹に充たる部分は元の繊維が緩いため伸縮しやすくふっくらと縮むためシボは大きくなります。対して肩や背中部分は元の繊維の密度が高いため、シュリンクした際も締まりの良い=シボの細かい仕上がりとなります。

ご注意、ご提案
前述の通り、革製品には製品ごとに表情の差がありその《個体差》があることこそ革製品の魅力であると私たちkissoraは考えています。一つとして同じものがなく、同じ品番、同じカラーであっても印象が異なる可能性が非常に高く、HPやECサイトでご覧いただいたイメージとご購入の際にお手元に届く製品に印象の差が生じるということです。
そのため、仕上げや見た目にこだわりがあり、お使いいただくものを吟味されたい方は、店舗にご来店され、実際の製品をご覧いただくことをおすすめしております。少しでもトラブルを防ぐために、ぜひご検討いただけますと幸いです。
併せてkissoraとして【革製品の革らしさををふんだんに味わっていただきたい】という革製品との付き合い方についてもご理解いただけると嬉しいです。


本コラムでご紹介している「シボ」の他にも革素材には様々な特徴、様々な表情が見られます。それらは一見デメリットと思われるかもしれません。しかしkissoraはその革素材に見られる特徴を革らしい個性として捉え、ものづくりをしています。
私たち人間の皮膚にも擦り傷や大怪我の痕、はたまた虫に刺された跡や歳を重ねることで残ったシワが見られます。それらの特徴が同じように革素材にも見られるという考え方です。こちらのセクションではそんな革素材に見られる特徴について一部ご紹介します。

傷の大小、深さにも個体差があります。ものづくりにおいてそれらは裁断職人によって厳しく選別され製品に適用されます。深く傷が残り、床面まで影響が及んでいるものや、製品が本来演出したい風合いを損なっているムラなどはもちろん製品には使用しません。しかし、製品の耐久性に問題がないもの、見た目以外にはモノとして欠陥がないものに関しては積極的に製品に落とし込み、製品化しています。
それにより革素材の使用可能な範囲を広げ、廃棄を減らすことでサステナブルに繋げるとともに製品の価格を抑えることも可能にしています。

製品の中に見られる革らしさ
kissoraの染料仕上げの製品をくまなくじっくり観察すると上記のような傷痕、模様のようなものが見つかるかと思います。左の写真はまさに革素材の中に見られる”バラ傷”が製品の底部分に使われている様子です。
このように傷の中でも目立つものは、裁断職人がきちんと見極めた上でできる限り目に届きづらい底やマチ等のパーツへ適用するという工夫がなされています。そんな傷も含めて製品を丸ごと愛していただけると嬉しいです。

今回のコラムで詳しくご紹介したヒートシュリンクを使用しているkissoraのシリーズは、2024年秋冬よりリリースした『フェスタ』『ボルサ』です。この2シリーズはシリーズ名は異なれど同じ素材を使用しています。落ち着いた光沢 、しっとりした質感に仕上げた牛革にシュリンク加工を施した素材を使用し、引き締まった印象でありながら、柔らかく上質な表情が印象的な素材。熱によるヒートシュリンク加工をした革で、独特なシボ感を備えつつ柔らかで上質な表情に仕上がっています。
さらに「フェスタ」シリーズは、あおり式の3層仕様など使いやすさを意識した機能性、「ボルサ」シリーズは、メインの部分を袋縫いにすることで、 ふんわりと柔らかな手触りに仕上げた特徴があり、いずれのシリーズもたくさんのユーザーを虜にしている人気シリーズです。
両シリーズとも革の経年変化は大きく、使い込むことでツヤが増し色が深まり、革らしい変化をお楽しみいただくことができます。ぜひ店頭でもお手に取ってご覧ください。
Festa/フェスタシリーズ
Borsa/ボルサシリーズ












