サスティナブルを身につける
革製品を主なアイテムとするkissoraでは可能な限り革を無駄なく製品化するために様々な工夫を凝らしています。副産物といえど貴重で限りあるマテリアルである「革」。『究極のエコ』とも謳われる「革」とのkissoraなりの付き合い方をご紹介します。
エシカルとサスティナブル
エシカル(エコ)…
自然環境保全。
また、それらへの関心や意識。
サスティナブル…
「持続可能な」
「ずっと続けていける」という意味。
エシカルもサステナブルも「地球環境にやさしい」という意味合いは同じですが、エシカルは環境に重きを置いた考え方で、サステナブルやSDGsは持続可能な社会全体のシステムを重視した考え方とされています。kissoraにとっては「革」素材を使用することそのものをSDGsの取り組みの一つとして考えていますが、それ以外にもケアを継続的に行うことや傷を受け入れること、そして今回の本題となる「革を余すことなく使用すること」を心がけています。
先日、公開したコラム2、3では「傷」を受け入れることや「ケアの重要性」をお話をしましたが、今回は革の製造工程を一部変化させることでより広範囲の革を活用し、可能な限り破棄を少なくし製品化させている一例をご紹介できればと思います。
2023年から取り扱いを行なっているkissoraのソリド(Solido)シリーズ。エッジの効いた咥え金具というパーツをフロントに配したシリーズです。実は、こちらのソリドシリーズはkissoraの定番アイテムとなっているオリーブヌメシリーズの兄弟なのです。
オリーブヌメシリーズは、製造過程でイタリア産のオリーブオイルを贅沢に使用したナチュラルな風合いが魅力の国産牛革を使用しており、植物タンニン鞣し特有の革本来の経年変化を楽しむことができます。染料仕上げで表面加工も最小限なので、使い込むほど柔らかく馴染みやすく色が深まっていく特徴があります。
このソリドシリーズとオリーブヌメシリーズが同じ1枚の革から製品化されている一例です。ではなぜ同じ革であるのにシリーズを変えて製品化する必要があるのでしょうか。その所以をお伝えします。
顔料と染料の違い
ソリドシリーズとオリーブヌメシリーズが異なるシリーズとして製品化されている理由のまず一つ目は「染料」仕上げと「顔料」仕上げの違いです。革素材を製品化する上で大きく別れるのが《染色》の仕上げ方の差異です。
染料仕上げ…
染料を使用して革の繊維を染めあげる方法で、革が本来持つ表情(しわ、キズなど)が楽しめます。
顔料仕上げ…
革の仕上げにおいて着色剤として顔料を主に使用する仕上げ方法で均一感のある着色と表情が楽しめます。
色の濃淡の均一性も美しい革製品であることの重要な要素の一つとなっています。革は組織の密度の違いや傷などの表面の状態の違いによって濃淡が表れるものですが、それが著しい場合、染料による染色が行われると、一枚の革の中での濃淡が激しくなります。それに対して顔料仕上げで色の膜を一枚被せることで、革そのものが持っている脆さをカバーする助けをします。そして濃淡を懸念して排除せねばならなかった部分を使用することが叶い、より広範囲を製品化することができています。
傷の有無
代表的な二つ目の理由は「傷の有無」です。コラム2にてkissoraでは傷も『個性』として受け入れることで革の良さを表現していることを記載しましたが、そのコンセプトでも補いきれない穴に程なく近い傷や、裂かれた部分は製品として使用することができません。
傷があるとして省いた部分は傷の該当箇所はもちろん製品として使用することができませんが、その周辺は問題なく使用できるものばかりであることがほとんどです。しかし鞄など大きなパーツで裁断する必要があったため、端切れとなってしまい、活用箇所を見失い破棄を余儀なくされていました。kissoraではその端切れに着目して財布などの小物シリーズに還元することで、端切れとなってしまっていた部分の活用を常に心がけています。
ルネディシリーズ
ソリドシリーズの他にも2023年にリリースしたばかりの新作「ルネディ」シリーズも同様の理由から製品化されたものです。ルネディもソリドと同様に顔料仕上げによる加工が施されており、経年変化は少ないものの、使い込んでもお手元に届いた時のままの表情を長く楽しむことができる特徴があります。また、顔料の膜を一枚かぶっているため、非常に鮮やかな発色を楽しむことができます。男女を問わないシンプルなデザインでご用意しておりますので、ギフトでのご利用や色違いでお使いいただくこともできます。
ルネディシリーズ
ラウンドファスナー長財布
KIVP-168
12,320円 税込
ルネディシリーズ
長財布
KIVP-169
11,550円 税込
ルネディシリーズ
二つ折り財布
KIVP-171
8,855円 税込
kissoraにとって革を余すことなく使用することによるSDGsへの取り組みをご説明してまいりましたが、バトンを受け取るのはkissoraをご愛用いただく皆さまです。今回ご案内させていただいたような製品を使用することの皆さまにとってのメリットは、
①製品を使用することでSDGsの一環を担っていること
②製品を長く使用し続けられることです。
今回ラインナップとしてご紹介したソリドシリーズ、ルネディシリーズはいずれも顔料による仕上げが施されています。そのメリットは革に起こりやすいトラブルが起きづらいこと、そして経年変化が少ないためご購入当時の表情を長く保っていられることです。ぜひ継続的に長い時間をかけてkissoraの商品をお使いいただけると、SDGsの取り組みとしても我々の想いとしても嬉しく思います。