2026.01.30
《column.31》革の個体差:ソレジアート

コラム・31
革の個体差:ソレジアート
kissoraのコラム第31弾は「革の個体差:ソレジアート」についてです。元々は生き物で、自然物であった革には様々な表情、個性があることはこれまでコラムや特集、YouTubeでも再三お伝えしてきました。その上で今回、特に革の個体差が顕著に現れるシリーズをリリースしましたので、改めてその特徴や注意点、魅力についてお伝えできればと思います。ぜひご一読ください。

今回のコラムで主役となるのは、2025年秋冬の新作としてデビューした「ソレジアート」シリーズです。染料仕上げ且つ素上げの国産牛革にイタリア産のオイルをたっぷりと染み込ませ、素材の個性をそのままにワイルドで独特な質感を表現した『ソレジアート』シリーズ。イタリア産のワックスを職人の手作業で丁寧に染み込ませ、しっとりと手馴染みの良い質感に仕上げています。
革らしい表情を活かした素材ゆえに、革そのものが持つ特徴が素材の特徴としてふんだんに現れています。その代表的な特徴をお伝えします。

前述した通り、『ソレジアート』シリーズはオイルによって仕上げられています。革素材は繊維の密度に差があるため、オイルが染み込む度合いにも差が生じます。そのため、生まれるのが【濃淡の差】です。繊維の密度が高い部分は浸透しづらく薄めの色合いに、繊維の密度が緩い箇所はオイルがふんだんに染み込むため色が濃くなります。一枚の中で濃淡の差が生まれるだけでなく、素材そのものにも個体差があるため、革ごとに同じものが一つとしてない《個体差》が顕著に現れます。

代表的な革表面の表情のひとつ【トラ】も顕著に見られます。トラは首や肩まわりなど、曲げ伸ばしを行っていた部位にできやすいシワの跡です。素材としては繊維の締まりが強いため重宝される価値の高い部位ですが、このシワが原因で省かれるケースも少なくありません。kissoraでは積極的に使用している部位となります。

染料仕上げ且つ素上げで仕上げられている本アイテムは革本来の表情を活かしながら製品としているため、動物が生きていた間に付いた傷やシミ、虫刺され跡のピンホールもそのまま革の特徴として残されています。

前述の通り『ソレジアート』シリーズは素材の段階で顕著に《個体差》が表出しています。加えて本シリーズでは袋縫いという方法で製造されており、それによる表情の変化も特徴的です。

素材自体はツルッとした印象のソレジアートシリーズですが、製品として仕上げる際に「袋縫い」という工程が行われます。袋縫いは、製造過程の最後に縫製した本体をぐるっとひっくり返す一般的な製法です。そのため、革素材にシワが寄るのは必然で、個体によってはシワ感が目立つのもシリーズの特徴の一つでもあります。表から縫い目が見えず、丈夫で美しい仕上がりになるのが袋縫いの魅力です。
また、オイルを染み込ませている素材のため、裏返す工程の中で、折り曲がった所が白くなり、それ以外の所にはオイルが残って色が濃くなる特徴もあります。この個体差も含め『ソレジアート』シリーズの唯一無二の魅力とも言えます。

革素材の硬さ自体にも差があるため、裏返しの工程でシワが発生する有無にも違いが生じます。繊維の集まりのため、工程を踏んだ後に慣性の法則のように元のような状態に戻るものもあれば、そのシワ感が残り続けるものもあります。その差も含め《個体差》があることの魅力であると私たちは考えています。

製品として完成するまでには大まかに[革の鞣し]→[シリーズごとの革の仕上げ]→[裁断]→[組み立て]の工程があります。その中の[組み立て]の際にも大きく《個体差》が生まれます。

パーツごとの個体差
鞄、財布はいずれも様々なパーツの組み合わせによって一つの製品として成立しています。そのため、パーツの組み合わせも《個体差》が生まれる理由になります。それらは職人により、製品としての強度やデザインが考慮されベストなバランスで仕立てられます。時には薄い色合いのものと濃い色合いのもの、シワ感のあるものとツルッとした表情の箇所が隣合わせになることもあります。

製品ごとの個体差
パーツごとで《個体差》が生まれるため、もちろん製品ごとにも《個体差》が発生します。全体的に見て、色の濃いもの・薄いもの、シワ感の有無、全体のイメージが均一なものもあれば、パーツごとの《個体差》によって裏表などで印象が異なるものもあります。
ご注意、ご提案
ここまでお伝えした通り『ソレジアート』は顕著な《個体差》が目立つシリーズです。そのため一つとして同じものがなく、同じ品番、同じカラーであっても印象が異なる可能性が非常に高いのが特徴です。その上での注意点は、HPやECサイトでご覧いただいたイメージとご購入の際にお手元に届く製品に印象の差が生じるということです。
そのため、仕上げや見た目にこだわりがあり、お使いいただくものを吟味されたい方は、店舗にご来店され、実際の製品をご覧いただくことをおすすめしております。展開数の多いシリーズではございませんが、少しでもトラブルを防ぐために、ぜひご検討いただけますと幸いです。
併せてkissoraとして【革製品の革らしさををふんだんに味わっていただきたい】という革製品との付き合い方についてもご理解いただけると嬉しいです。


2025年秋冬の新作としてリリースした『ソレジアート』シリーズ。染料仕上げ且つ素上げの国産牛革にイタリア産のオイルをたっぷりと染み込ませ、素材の個性をそのままにワイルドで独特な質感を表現したユニセックスのバッグシリーズです。
バックボーンには数多くのユーザーの心を掴んでいた「セレーノ」シリーズの存在があります。味わい深い素材と、飽きのこないシンプルなデザイン、しっかりと経年変化を感じられる革好きにはたまらない魅力が詰まった「セレーノ」シリーズ。10年ほど前に惜しくも廃盤となった名作を踏襲、さらにブラッシュアップした、今まさにおすすめしたい本格派『ソレジアート』シリーズをご紹介します。
ソレジアートシリーズのショルダーバッグ2型のワンショルダーからショルダーバッグへの紐の付け替えについてはYouTubeチャンネル「kissoraの中の人」にて詳しくご説明しております。ぜひ併せてご覧ください。





