2025.01.24

《column.21》上手な日焼けとの付き合い方

コラム・21

上手な日焼けとの付き合い方

キソラのコラム第21弾となる今回は、革製品の「日焼け」についてお話しします。革製品のメンテナンスや修理のお問い合わせ、店頭品のトラブルとしても上がることの多い革製品の「日焼け」。日焼けと経年変化では大きな違いがあり、それが起こることにもきちんとした理由があり、対策があります。しっかりと理解して対処することで革らしい経年変化を楽しむと共に、より長く製品を美しい状態でお使いいただくことができます。今回のコラムはお客様だけでなく店頭スタッフに向けてもお伝えしております。ぜひ本コラムをご一読いただき「日焼け」と上手にお付き合いいただけたらと思います。

1. キソラの革製品
2. 日焼けが起こる原因とその例
3. 予防と対策
4. 革製品のお手入れ方法

キソラの革製品の大半は、タンニン鞣し及び素上げ調の素材を使用しています。それらは時間の経過と定期的なお手入れをすることで素晴らしい経年変化を起こし、革らしい表情の変化をお楽しみいただけます。
経年変化の主な特徴は「色が濃くなり（深まり）」「ツヤが出る」ことです。そのような経年変化=革らしい表情を引き出すことのできる素材をキソラでは尊重し、主な素材として採用しています。

キソラでは『経年変化チャート』と題して、シリーズ毎にどのくらいの経年変化を感じることができるのかグラフにしてご紹介しています。右上にあるシリーズほど革に対しての加工が少なく、それに伴って経年変化も大きくなります。対角にあるシリーズがその逆となる素材（＝革に対する加工が多く、経年変化が小さいもの）となります。
そして、図の説明にある通り、経年変化が大きい素材であるほどお手入れの重要性が高まります。併せて、キソラではそういった素材を使用しているシリーズが大半を占めています。

YouTubeチャンネル「kissoraの中の人」にて『経年変化』についての解説をチャートに添いながら行っております。実際に経年変化が起きたアイテムを手にしながらkissoraのシリーズを様々取り上げてご紹介しております。ぜひ併せてご覧ください。

YouTubeチャンネル「kissoraの中の人」

キソラの製品が革らしい経年変化を起こす反面、革の状態を劣化させてしまう「経年劣化」が起こる場合もあります。そしてその結果起こる現象の一つが今回の本題ともなっている【日焼け】による褪色です。
前述したように「経年変化」による状態変化の主な特徴は「色が濃くなり（深まり）」「ツヤが出る」こと。対して「経年劣化」による状態変化の主な特徴は「色が薄くなり」「キズや擦れが目立つ」状態です。

上記の写真は革らしい経年変化を起こした状態と日焼けによる褪色をした場合の表情の違いです。いずれも色の変化が生じていますが、革らしい経年変化は左側の状態となります。色だけでなく【日焼けした状態】のものはキズやシミが目立ちやすい状態になっています。

主な原因=

日焼けが起こる主な原因は【乾燥】により「水分」と「油分」が抜けること。【光】が持つ紫外線が色素を分解する作用があり、革製品が褪色する大きな理由を持つことです。
乾燥については、人間の肌と同様で保湿を欠かすことで発生します。それは何よりも革が元々動物であったということが所以しています。

また、光＝紫外線については、太陽光に限らず室内のライトにも共通して注意が必要です。太陽光よりは弱いながら室内のライトからも紫外線が発生しています。色を分解する作用のある紫外線を浴び続けることはまさに毒となります。
さらに、店頭に並んでいるアイテムは常に陳列されているため、光を浴び続けている状態となります。そのため、鞄等にしまわれている購入後のアイテムよりも店頭に並んでいる新品の製品の方が褪色するリスクが高くなります。

前述では製品全体における日焼けの例をご紹介しましたが、保管状況やお手入れ方法によっては、部分的に褪色が発生する場合もあります。この場合はより目につきにくく気づきづらいため、お手入れを定期的に行っている製品にも発生してしまう場合もあります。
それを防ぐためには定期的な満遍ない全体的なお手入れが必要となります。
ポイントは【全体的に満遍なく】行うこと。対策となるお手入れについて次にご紹介します。ぜひご一読ください。

コラムを通して【日焼け】について注意喚起をしていることには理由があります。それは日焼けしてしまった素材は【元に戻らない】ためです。日焼けと思われる初期の段階であれば、デリケートクリームでの適切なケアを繰り返すことで、その状態は目立ちにくくなりますが、乾燥し切って、色が抜け切ってしまっている場合は元のような状態に戻すことができません。後から着色する形で元に戻ったかのような修理方法もありますが、革本来の風合いを活かした素材を尊重しているキソラでは後から着色する形の修理は承っておらず、他店の修理屋等で着色がなされたとしても同じ風合いに戻ることはありません。

しかし、原因をしっかり理解して日々予防しておくことで、その一切の心配はなくなります。キソラの革製品における放置はまさにタブー。口を酸っぱくしてお伝えする形となりますが、とにかく【定期的なお手入れ】をすることがキソラの革製品と長く付き合う上で大切なことであり、それが「日焼け・褪色」に対する予防であり、対策となります。

「とにかくケアしてください」

キソラのYouTubeチャンネル「kissoraの中の人」ではショート動画にて店頭スタッフに向けて、在店中の過ごし方の一例として、接客の合間にケアをする方法をご紹介しています。
お客様の手に届く以前に、店頭に並んでいる商品は、営業時間中常に光を浴びて状態変化が行われている状況にあります。紫外線を浴び続けることは、キソラの革製品にとっては最大の敵と戦っている時間でもあり、より良い状態でお客様の手に届けるためにはスタッフによるケアがとても重要です。
お客様とのコミュニケーションを取ることは何よりも大切ですが、製品との対話も片隅に置きながら日々過ごしてもらえたらと思います。

また、日々キソラ製品をご使用いただいているお客様自身にも、定期的なお手入れをお願いしており、お手入れの目安は使用頻度によっても異なりますが、月に一度程度のケアをおすすめしております。

メンテナンスのお問い合わせ

革製品と付き合うには他の素材よりも少し知識や手間が必要。それでも少しでも気軽に革製品をお使いいただきたい。キソラでは商品の販売に留まらず、その先のアフターサービスにも力を入れております。お手入れ方法の教授や実際のメンテナンス希望、状態改善の相談等、お困り事がございましたらお気軽にお問い合わせください。
※ご来店でのお問い合わせの際、店頭にて即日解決できない事例につきましては、お預かりさせていただく場合もございます。あらかじめご了承ください。

キソラの実店舗一覧

キソラ公式Instagram

メールでのお問い合わせ

InstagramでのDMおよびメールでのお問い合わせの際は状況と状態のわかる写真を添えてください。

キソラの製品に限らず、自然物である革にとっては「乾燥」や「光」が大きな敵となります。そのため定期的なお手入れとして「水分」と「油分」を補うことで、革が本来持っていると良い潤いを保ち、さらに「摩擦」を加えることでキズを馴染ませ、自然なツヤを出すことに効果を発揮します。
そして、お手入れを定期的に行うことで今回のテーマとなっている【日焼け】も未然に防ぎ、革製品にとって何よりも良い状態を保つことができます。

『革製品のお手入れ』と聞くと、難しい印象を持つ方がほとんどかと思いますが、実は大変シンプル且つお手軽なものです。お手入れをするほど自分のアイテムが育っていく感覚がお手入れ冥利に尽きると言えるほど、キソラの製品は豊かに表情を変えながら育ってくれます。ぜひ下記の動画や方法を参考に一度試し、定期的に繰り返していただけたらと思います。

革製品のお手入れは大きく分けると4ステップ+α。【汚れ落とし ▶︎ 栄養補給 ▶︎ 乾拭き ▶︎ ツヤ出し +α（撥水スプレー）】です。kissoraのアイテムはこれらの手順を踏んだお手入れを行っていただければ、より長く革製品をお楽しみいただけます。ご不明点等ございましたら、SNS等でのお問い合わせ、YouTubeのコメントにて受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。