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2024.02.09

《column.07》皮が革になるまで

kissora

慌ただしく過ぎていく日々の中で、
何が大切で、何がそうじゃないかを 自分の目で見極め、
一日一日を丁寧に、シンプルに暮らしたい。
そんな日常にそっと寄り添う 「kissora」との生活。
そんなコンセプトを掲げたkissoraが、
皆さまと革との毎日をより豊かに彩れるようにと始まったコラム企画。
革についての知識やひとつのトピックを深く掘り下げた内容をお届けいたします。
ぜひご一読ください。

コラム・07

皮が革になるまで

第7弾は「皮が革になるまで」です。「革」を主な素材としているkissoraとして、「皮」と「革」の違いをきちんと理解していただきたいと願っております。「皮」は多くの工程を経て「革」となります。そして、革となった先でも、ひとつの製品の奥に、多くの方々の手が関わっています。製品の成り立ちを知り、その魅力をさらに感じていただけますと幸いです。

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皮が革になるまでの工程

原皮

動物から皮を剥いだ状態の「原皮」。毛や肉など革になる部分以外もついています。原皮は腐敗を避けるため、塩漬けにされ保管されています。

脱毛・脱脂

原皮を脱毛し、余分な脂分や汚れなどを取り除くタイコ。機械の周囲には溶けた毛や脂が付着しています。この工程には、石灰と硫化ソーダが用いられています。水を入れ替えて1日に何度も繰り返し稼働しています。

鞣す直前の皮

へその部分等の革には不要な部分をカット。これらも捨てるのではなく、コラーゲンを多く含むため、化粧品の原料などに使用されます。

鞣す

クローム鞣し、タンニン鞣しどちらにも使用されるタイコ。革や薬品を攪拌させるため、内部には突起物が満遍なく取り付けられています。

ウェットブルー

鞣しが終わった後の状態。ここで「皮」が「革」になります。この段階である程度の傷やムラが判断され、グレードごとに仕分けられる場合もあります。

ピット槽鞣し

古来から伝わる鞣し技法で、大きな規模のピット槽の場合では国内に2箇所しか設備がなく大変希少なタンニン鞣し専用の施設です。深さ3mのピット槽で、一槽で約70枚を鞣すことができ、約1ヶ月漬け込まれます。

乾燥

鞣しを終えて、下地の染色が施された革が乾燥されています。自然な風で乾かすため湿度の低い秋がベストシーズンです。冬はストーブを焚き、扇風機を使用して乾燥させるそうです。

染色・加脂

下地染色を行った革をさらに染め上げ、同時に脂を加えてしなやかな仕上がりにします。タンナーと水は切っても切り離せません。水質によって「得意な革」が異なるといいます。

バタ振り

革を振って柔らかくする「バタ振り」という工程です。加工する長さで仕上がりが大きく異なるため、目指す仕上がりにする為のレシピに職人技が求められます。また、こちらは日本人が発明した機械で、海外の工場には設備されていないところも多いといいます。

加脂

革に油剤(加脂剤)を与える工程です。脂分が加わり一時的に色が濃く変色します。革の柔軟性、耐水性、光沢感、風合いなど、革の仕上がりを左右する重要な工程です。

調色

無数の染料や顔料の中からオーダーに合わせる調色工程です。感覚と見た目が重要視される作業で、この工場では熟練の職人 3名のみで行われています。

仕上げの染色

配合された染料もしくは顔料が吹きつけられています。吹きつけられた革は乾燥機の中を通り抜けて回収されます。オーダー通りの色を目指し、丁寧に仕上げられます。

アイロン加工

革に熱と圧を加えて、ツヤを調整します。革は動物由来のため1枚の革でも凹凸感や質感が異なります。それをある程度整えるため、熱と圧で平衡をとることがあります。

計量

光センサーの付いた計量台を通して革のサイズを測り、デシ数(革のサイズ)が記載されたシールが革の床面に貼られます。

検品

多くの蛍光灯のもとで、問題がないか丁寧に検品されます。検品する人の目に合わせて調光する場合もあるそうで、大変多くのライティング環境が用意されていました。

出荷

半身の状態を数枚まとめて1ロールとし、1つの工場で生産された革が全国様々な場所へ旅立ちます。

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鞣すとは

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「皮」がまさに「革」となる段階には『鞣し』という工程を踏みます。『鞣す』ことで動物の皮膚(=SKIN)としてあった「皮」から腐敗の原因となる毛やタンパク質、脂肪を取り除きます。そして、タンニンやクローム等の鞣し剤をコラーゲンやほか薬品と混ぜることで「革」となります。「鞣し」という言葉の通り、”革”を” 柔”らかくすることも役目のひとつです。鞣しの工程を経ることにより、柔らかく、耐久性のある「革」へと変わります。

タンニン鞣し

「タンニン」鞣しは天然の植物由来の成分が多く含まれたタンニン溶液に漬け込んで鞣されるものを指します。クローム鞣しよりも古くからある技法で、非常に手間と時間がかかるため、鞣しから仕上りに数ヶ月を要します。また、タンニン鞣しは原則的に植物性のため、時間の経過でツヤや柔らかさが変化する「経年変化」を感じることができる革になることが多いとされています。

クローム鞣し

対して、「クローム」鞣しは、金属を使った鞣し方法です。タンニン鞣しに比べて鞣し時間が一日程度で完了するため、短期間で「革」へと仕上げることができます。柔らかく伸縮性に優れていることが特徴で、 染色や加工がしやすいため、幅広い製品への加工を可能にしています。

また、「鞣す」と一言でいっても、段階がいくつかあり、水漬けや脱毛、染色や加脂など多くの工程をまとめた表現でもあります。タンナーにはタイコと呼ばれるものがあり、それぞれの役割を以って日々稼働しています。そして、鞣しから仕上げに至る全ての工程で繊細な微調整を重ね、目指す革の仕上がりに向けて制作されています。

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ヌメ革の魅力

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kissoraのショルダーズナチュラルシリーズには「ヌメ革」と呼ばれる革を使用しています。「ヌメ革」とは、前述における「タンニン鞣し」を施されたもので、その後の染色や加脂などの表面加工をほとんど施さずに仕上げた革のことです。 数多くある革の種類でも最も大きな経年変化を起こすことが特徴で、「ザ・革」と言えるほど革らしい雰囲気を持っています。ナチュラルマークや自然な風合い、上質感などが最高峰の革を感じさせる仕上げ方です。

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タンナーで「ヌメ革」になったばかりの革に触れると板のような硬さがありました。これらも製品になるまでにある程度人の手に触れられ、少し柔らかくなって製品となりますが、製品になったさらに先、使う方の手の脂分や日頃過ごす中で浴びる光、時間に囲まれ、育つ未来を感じさせました。経年変化が驚くほど実感できる「ヌメ革」は、ナチュラルマークを感じられることも魅力の一つで、動物たちの「生きた証」をストレートに感じることができます。

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皮が革になるということ

「革」の状態を「皮」と表記、認識していることが目についたことが、本企画のきっかけでした。「かわ」という読みが同じであれどその形態は大きく異なります。正しく理解することで、そのものの価値観はより大きくなり、工程の深さを知ることで製品の魅力をより感じることができるかと思います。

多くの工程を経て「皮」は「革」になります。それぞれの工程に専門の職人がいて、仕上げる革に合わせて調整が重ねられています。時間、感覚、経験、それらをまとめる熱量が全ての革に込められています。タンナーで働く方々へフォーカスしたコラムも公開予定ですのでぜひお楽しみに。

店頭に並ぶ革製品はそれぞれ特徴が異なります。「革」であれば必ず経年変化を起こすとは限りません。工程の中にある染色をはじめとした加工の中で、どの方法を選ぶかによってほとんど経年変化しないものも存在します。それらは表面の表情が変わらないことが特徴であり、魅力です。そしてそれを理解することこそが、製品の魅力を最大限に楽しむための要素になります。

kissoraではシリーズごとに仕上げ方を変えています。それぞれの特徴を理解し、ぜひお気に入りのアイテムに出会っていただけると嬉しく思います。

kissoraシリーズ一覧はこちら

「皮」が「革」製品になるまでの一通りの流れを動画にまとめました。そこで働く方々の姿も映っております。革の成り立ちについて主な部分を汲んでいただけるかと思いますので、ぜひご覧ください。
また、kissoraのYouTubeチャンネル「kissoraの中の人」では、鞣しだけでなく革にまつわる様々な事について取り上げておりますので併せてご覧ください。

YouTubeチャンネル「kissoraの中の人」

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