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2024.06.07

《column.13》経年変化という魅力

kissora

慌ただしく過ぎていく日々の中で、
何が大切で、何がそうじゃないかを 自分の目で見極め、
一日一日を丁寧に、シンプルに暮らしたい。
そんな日常にそっと寄り添う 「kissora」との生活。
そんなコンセプトを掲げたkissoraが、
皆さまと革との毎日をより豊かに彩れるようにと始まったコラム企画。
革についての知識やひとつのトピックを深く掘り下げた内容をお届けいたします。
ぜひご一読ください。

コラム・13

経年変化という魅力

第13弾は「経年変化という魅力」です。kissoraでは使い始めの製品を「未完成品」と呼び、お使いいただき皆様の手で育て、『経年変化』が起こり馴染んでいくことで「完成品」になると考えています。革製品をお使いいただく上で知っているとさらに生活が楽しくなる知識の一つ『経年変化』。唯一無二の素材である革の特徴を正しく理解することでその魅力はさらに深まっていきます。改めて原点に立ち、『経年変化』についてお話しできればと思います。

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今回テーマとなっている「経年変化」とは、長く使い込み時間が経過することで色や質感が変化することをいいます。変化の大きさには革の作り方や染め方、お手入れの有無などによって大きな違いが現れます。

kissoraで取り扱っている製品の多くは、タンニン鞣し+染料仕上げの革を素材として使用しています。こちらの鞣し方法と仕上げ方は経年変化をより引き出す組み合わせで、革本来の表情を生かしたナチュラルさを追求したものです。
タンニン鞣しを行う際に使用されているタンニン剤は光や紫外線によって酸化し、色を変化させる特徴があります。加えて、染料仕上げはいわゆる薄化粧をした状態で、色をのせすぎず、革の表情を残した着色方法です。これらが合わさった仕上げで作られた革がkissoraの製品には使用されているのです。

染料仕上げ

染料は、水と溶剤によく溶ける性質を持っているため、表面上だけでなく、製品の繊維の中まで色を浸透させる特徴があります。顔料と違って染み込むイメージのため、地(ここでいう革)が持つ元々の表情を生かした風合いになることが特徴の着色方法です。

顔料仕上げ

顔料仕上げでは、革をコーティングするイメージで色が塗布されます。一枚膜を張るような形になり表面を覆うため、革の吟面(革の表面)の傷やムラなどを隠します。革本来の表情は見えづらくなりますが、均一な着色が特徴の着色方法です。

タンニン鞣し

「タンニン」鞣しは天然の植物由来の成分が多く含まれたタンニン溶液に漬け込んで鞣されるものを指します。クローム鞣しよりも古くからある技法で、非常に手間と時間がかかります。また、タンニン鞣しは原則的に植物性のため、時間の経過でツヤや柔らかさが変化する「経年変化」を感じることができる革になることが多いとされています。

クローム鞣し

「クローム」鞣しは、金属を使った鞣し方法です。タンニン鞣しに比べて鞣し時間が非常に短くなるため、短期間で「革」へと仕上げることができます。柔らかく伸縮性に優れていることが特徴で、 染色や加工がしやすいため、幅広い製品への加工を可能にしています。

上記の大きな棲み分けに留まらず、タンニン鞣しとクローム鞣しの良いところを組み合わせたコンビネーション鞣しを用いる場合も多く、様々な薬剤の有無や種類、熱処理などの表面加工によっても革の仕上がりは大きく異なります。また、kissoraが主に使用しているタンニン鞣し+染料仕上げの革は、同じ加工を行っていても革本来の表情に個体差があるため、一つとして同じものは生まれません。まさにkissoraが使用している革は唯一無二の素材なのです。
そして、皆さまの手によって育てられ、『経年変化』を重ねることでさらに個性溢れるアイテムへと育まれていきます。

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「年月の経過とともに物質の状態などが変化する」ことを『経年変化』と呼ぶのに対し、「年月の経過とともに物質の状態が変化し、品質や性能が悪くなる」ことを『経年劣化』と呼ぶことがあります。中には2つを同等のものであると考え、一律である場合もありますが、我々はそれらに大きな違いがあると考えています。

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上記は「経年劣化」と考える主な例です。特に①は、使用中のハプニング(キズやシミ等)に限らず、放置するだけで発生する劣化です。乾燥することで革の油分や水分が抜けると同時に染料も抜けてしまい、それによって色が褪せてしまうことを「退色」と呼びます。ネガティブな変化を引き起こさないためには、日頃のお手入れを行うことが不可欠です。お手入れについては次のセクションでご紹介します。

また、革製品を使用されない場合は、空気のこもらない場所で不織布等に入れて保管することをおすすめしております。紫外線に触れていないことに加え、湿度が増すとカビが生える原因にも繋がります。

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動物から生まれた素材である革は、たとえ加工が施された後でも時間を重ねるだけ変化を及ぼします。その変化こそが今回のコラムでテーマとなっている『経年変化』です。日々の使い方や保管方法に限らず、実はケアの有無こそが革製品をどれだけ長い時間美しい状態に保つことができるかを左右する重要な行為なのです。「お手入れ」と正しく付き合うことで、より美しい『経年変化』を生み出し、より豊かな革製品との日々をお過ごしいただけると考えています。

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自然物である革にとって植物と同様に「光」や「乾燥」が大きな敵になります。そのため、定期的に「水分」と「油分」を補うことで、革が本来持っていると良い潤いを保ち、革が生き生きとした表情になります。さらに「摩擦」を加えることで自然なツヤを出すことに効果を発揮します。定期的なお手入れを行うことで2でご説明した経年劣化への進行を防ぎ、より美しい経年変化を起こす助けをするのです。

革製品のお手入れは大きく分けると4ステップ+α。【 汚れ落とし ▶︎ 栄養補給 ▶︎ 乾拭き ▶︎ ツヤ出し +α(撥水スプレー)】です。kissoraのアイテムはこれらの手順を踏んだお手入れを行っていただければ、より長く革製品をお楽しみいただけます。気候や使用頻度によって変わりますが、月に一度程度のケアをおすすめしております。

ケア用品ラインナップ(一部)
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栄養補給

デリケートクリーム
KIRD-001: 1,430円 税込

幅広い革製品に使用することができる万能クリーム。皮革に潤いと栄養を与え、柔軟性を出し、しっとりとした質感に仕上がります。

商品詳細はこちら

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汚れ落とし/ツヤ出し

ワークホースブラシ
KIRD-002: 1,430円 税込

柔らかな毛質が特長の馬毛のブラシで、革製品に付いた汚れを払い落としたり、クリームを塗った後のブラッシングに適しています。

商品詳細はこちら

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クリーム塗布 / 乾拭き

ポリッシングコットン
KIRD-005: 660円 税込

栄養クリームの塗布や仕上げの乾拭きにおすすめです。起毛しているコットンが余分なクリームを取り除き、より美しく磨きあげることができます。カットして使用できます。

商品詳細はこちら

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撥水・防汚

プロテクターアルファ
KIRD-003: 1,760円 税込

布にも革にも使えるオールラウンドタイプの撥水・防汚スプレー。使用する30分前にかけると効果を発揮します。汚れから守るために、予防として使う方法もあります。※炭酸ガスを使用しているため、振らずにご使用ください。

商品詳細はこちら

ケア用品一覧はこちら

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kissoraでは「経年変化チャート」と名付けてkissoraでお取り扱いを行っているシリーズの主なものを集め、経年変化の大小と”染料””顔料”の割合を示した表をオンリー店とkissora取扱店の店頭にてPOPで展開しております。

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ブランドの特徴としてkissoraの製品は、ナチュラルな素材をメインに使用しており、染料仕上げによる製品を多くリリースしているため、右上の割合が多くなります。その中でも「特に経年変化の大きいシリーズ」「経年変化の大きいシリーズ」の区分を設け、全体で4つのパートに分かれたような構成となっています。
いまお使いいただいている製品やご購入を検討されている製品、商品を選ばれる際などに、どれ程の『経年変化』を感じるアイテムなのかご確認いただけるツールとして活用いただければと思います。
※チャートは年2回を目安に内容をラインナップ等の変更を行っております。

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YouTubeチャンネル「kissoraの中の人」にて『経年変化』についての解説をチャートに添いながら行っております。実際に経年変化が起きたアイテムを手にしながらkissoraのシリーズを様々取り上げてご紹介しております。ぜひ併せてご覧ください。

YouTubeチャンネル「kissoraの中の人」

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